医局とは?【最新の医局事情も解説】

最近、医療ドラマが大人気ですね!どのクールでもどこかの局が医療ドラマを放送している印象です。医療ドラマに感動して、医学部を志した人も多いようですね。

爆益医学生
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医療ドラマが人気な理由の一つに「身近な割に関係者以外は現場をよく知らない」ことがあると思います。刑事ドラマも同じ。

医療ドラマを見ていると「医局」という言葉を耳にすることがあると思います。一般の方にはあまり馴染みがない言葉かも知れませんね。

という訳で、今回はこの「医局」って何なのか、詳しく解説したいと思います!

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医局とは?

まず「医局」の言葉の意味ですが、広義のものと狭義のもの、2つあります。

広義の「医局」

広義の「医局」とは、医学部と附属病院の各診療科ごとの人事組織のことです。

この人事組織は、教授を頂点に以下、准教授、講師、助教、大学院生(博士課程)、専攻医(後期研修医)などの医局員で構成されるピラミッドとなっています。

(専攻医とは初期研修終了後、専門医資格取得を目指して修行中の医師のことです。)

爆益医学生
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医学部の場合、卒業後は初期研修医として働くため、すぐには大学院に進学しません。初期研修終了後、専攻医となり、専門医取得後、大学院進学を考慮するという流れが一般的です。

各大学医学部には「関連病院」が存在します。

関連病院は、「〇〇大学附属△△病院」のような系列大学病院であることが一目でわかる名前の病院もあれば、「〇〇市立病院」のように全くわからない病院もあります。(こちらの方が多いです)

教授は、この関連病院に医師を派遣します。

教授
教授

〇〇病院に行ってくれるかな?

医局員
医局員

いいとも!

ネタが古いですね笑

……こんなノリではないですが、まあこんな感じです。

病院は都会にも、地方にもありますから、都会で勤務することもあれば、地方に行かされることもある訳です。既に家庭を持っている場合、家族全員で引っ越しというのが難しい場合もあります。この辺りも踏まえながら教授が人事権を発揮しているんですね。

爆益医学生
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地方の病院には、やはり若手の独身男性医師が行かされやすい傾向があります。

地方は一つの大病院に機能が集中しているので、若手が学べることも多いというメリットも一応あります。

教授の意向に逆らうと、出世コースから外されるなんてことも。医局において、そのくらい教授の力は絶大的です。

狭義の「医局」

病院実習で指導担当の先生に「明日8時に医局に来てね」などと言われることがよくあります。この場合の医局は「医師の控室」という意味です。1人に1つずつ机が与えられ、論文を読んだり、資料を作ったり、時には瞑想に耽ったり(睡眠)……まあオフィスみたいなものですね。医師の仕事場は病棟や手術室だけではないです。

爆益医学生
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大学病院の場合、各診療科に一つ医局があり、市中病院の場合は全医師共通の大部屋医局があるという傾向があります。

大学病院の医局には秘書さんがいらっしゃることが多く、事務作業などをこなしておられます。

一般の方はこちらの意味での「医局」はほとんど耳にしないでしょう。

ここからは広義の方の医局について掘り下げていきたいと思います。

強い医局、弱い医局

医局には強い医局と弱い医局があると言われます。

この相対的な強さはズバリ、関連病院の多さで決まります。

強い医局には関連病院がたくさんあり、教授に多くの人事権が集中します。これが強さの根源となっています。

医局(こっちは狭義の方)内に地図を貼って関連病院の位置に旗を立てている医局もあるとかないとか……

爆益医学生
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まるで戦国時代ですね。

全体的には医局の力は落ちている

ここまで書くと、医局とはまるで教授が独裁者の独裁国家のようですが、全国的に医局の全体的な力は落ちてきています。

爆益医学生
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医局を描いた有名な小説、ドラマに山崎豊子の「白い巨塔」がありますが、現在は医局にあれほどの力はありません。

(注:僕は2019年放送の唐沢寿明主演の「白い巨塔」は見ていません笑 現在の状況を反映してか、昔と結構変わっていたようですね。見た方いればどんな感じだったか、コメントで教えて下さい笑)

医局の力が落ちた最大の理由は2004年の新医師臨床研修制度によるものが大きいと言われます。

新医師臨床研修制度(2004~)

2004年までの医師の卒後研修制度はかなりいい加減なものでした。

努力規定として「医師免許取得後に2年以上の臨床研修を行うよう努める」と定められていましたが、ほとんど守られておらず、医師不足の地域では即戦力として動員され、外来診療までやらされるという有様。

爆益医学生
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外来診療はしっかり知識が身についていなければできません。

毎日毎日働きまくって、なんと月収は数万円。これではとても生活ができませんので、当直などのアルバイトをしてなんとか乗り切るような有様でした。

この辺りは、漫画「ブラックジャックによろしく」によく描かれていますね。

このような状況を改善すべく、2004年に新医師臨床研修制度ができ、研修医の2年間の臨床研修が義務化され、適切な給料(大学病院など一部の病院はそれでも安いと思うのですが)が支払われるようになり、アルバイトも禁止されました。

研修医からすればかなりの改善となったこの制度ですが、医局からすればかなりの改悪となりました。

2004年までは研修医は医学部卒業と同時に出身大学の医局に入るのが一般的でした。

しかし、新制度になってからそれはなくなり、医局に入るのは研修が終わってからの医師3年目以降となり、出身大学外の医局に入ることも一般的になりました。

それどころか、独自の専攻医プログラムを多くの市中病院が作り始めたこともあり、医局に属さずとも医師として働くことが可能になりました。

医局としてはマンパワー不足に陥り、医師の派遣に難渋するような状況になって力が落ちてしまったと言う訳です。

医局復活なるか?

そんな訳で力が落ちてしまった医局ですが、最近復活の兆しも見え始めています。

これは2018年の新専門医制度によります。

新専門医制度(2018~)

研修医が終わると、専門医(各学会が「この人ちゃんと診療できる医師ですよ~!」って認めてくれる資格と思ってください)取得に向けて走り出す訳ですが、いろいろな学会が専門医の制度を作りまくったせいで、専門医の種類はなんと100以上になってしまいました。

こうした状況の中で「果たして専門医の質の担保が保証されているのか?」という議論が上がり始め、「専門医の質を高め、良質な医療が提供されること」を目的とし、2018年から新専門医制度が始まりました。

従来の各学会の独自の専門医プログラムは、第三者機関である日本専門医機構によって運用されることになり、それまで各学会によってバラバラであった専門医資格の認定基準が統一されることになりました。

これにより、専門医の基本領域となる診療科は19にまで減りました。

日本専門医機構は、専門医取得のための施設(病院)の基準も厳しくした結果、基準に通った病院は全国の大学病院と一部の大きな市中病院だけとなりました。

結果的に医局としては、専攻医として入局する医師が増える兆しが見えたという訳です。

まだ新専門医制度になってから2年しか経っていないのですが、ここから一気に医局復活となるんでしょうか?注目していきたいと思います。

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ブログを始めたばかりでわからないことだらけです…

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コメント

  1. どいみょん より:

    初めまして
    こういうネタはどこで勉強してらっしゃるんでしょうか
    研修医になったのに知らないことだらけです

    • Dr.爆益 爆益医学生 より:

      コメントありがとうございます!
      僕はm3.comと日経メディカルで医療ニュースをたまにチェックしています。
      どちらもよくまとまっており、おすすめのサイトです!

      • どいみょん より:

        丁寧な返信ありがとうございます!
        僕もこれからm3活用させていただきたいと思います!

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