最近、人工知能(AI)の発展が急速に進んでおり、ニュースでも連日大きく取り上げられています。AI関連企業も次々に生まれており、技術だけでなく市場の発展も伺えます。
AI参入の波は、医療業界にもすぐそこのところまで来ており、期待の声は大きい一方、心配する声も挙げられます。
今回は医療AIの現場で期待される活用法や、メリット・デメリット、今後の課題について解説していきたいと思います。
AI?機械学習?深層学習?
AI関連のニュースを見ていると「機械学習」や「深層学習」など、いろいろな単語が飛び交っており、頭がごちゃごちゃになってしまう方も多いと思いますので、いったん整理します。
まず、AIは総合的な技術の概念であり、その中に、機械学習という手法があります。さらに、機械学習の中に深層学習(ディープラーニング)という手法があります。
人工知能>機械学習>深層学習 の順で狭くなっていくイメージですね。
深層学習で用いられるシステムを「ニューラルネットワーク」と呼びます。ニューラルとは「神経の」という意味であり、人間の神経細胞(ニューロン)の仕組みを模していると言われます。
このニューラルネットワークに大量の画像や音声、テキストデータなどを入力すると、データに含まれる特徴が自動的に学習されていきます。この構造と学習手法が深層学習特有のものであり、非常に高い精度を誇る、というのが深層学習の概念です。
医療で最も注目されているのが深層学習
医療業界で最も有効であり、早期に実用化されると言われるのがこの深層学習の技術です。
医療ではX線、CT、MRI、内視鏡、超音波、病理など、画像を使って診断や治療方針を決める場面は多々あります。
医師が画像診断を上手くできるようになるには、正常画像と異常画像をたくさん見て勉強し、特徴を掴むしかないとよく言われますが、これは深層学習の方法と全く同じです。無数のデータを取り込み、学習できることを考えれば、AIの方が優れていると言えるかもしれません。
実際に診断を下していく際も、AIなら一瞬ですし、何よりも見落としリスクを減らせるというのが大きいです。
医学生や医療関係者の方なら「来院時のCT画像の所見を見落とし、後で大変なことになった」症例を講義などで習ったと思いますが、そのような例を減らせるかも知れません。
医療AIのメリット
医療AIのメリットとして、上の画像診断の例や、無駄なナースコールや医師の呼び出しの頻度が下がるというのがあると思います。
ある程度AIに診断を任せ、本当に必要な時のみ医師や看護師が患者のもとに駆け付け、細かい判断をするというのが現実的なAIの活用法の一つかなと考えています。
ただでさえ医師や看護師における病棟管理の負担は大きいですからね。
医療AIのデメリット
現場でのAI依存
医療AIのデメリットとして最もよく聞かれるのが、このAI依存に関する問題でしょう。
現場でのAIに仕事を任せる比重が大きくなりすぎると、医師や看護師の負担軽減というメリットを通り越し、AIが仕事を奪ってしまうというデメリットにつながりかねません。
また、若手医師は仕事をしながら医学を学んでいる面があるため、AIの発展が若手医師の学習機会損失をもたらし、将来の医師の質が落ちてしまう可能性もあります。
どの程度現場にAIを導入するかは今後議論を重ねていく必要があると思います。
AIの暴走
AIについて解説する上で欠かせないのが「ブラックボックス化」です。
ブラックボックス化とは、ある技術において、外部から見た機構や使い方はわかっているが、内部の動作原理がわからなくなってしまうことです。
AIに当てはめると、AIが学習を重ねるにつれて、AI開発者でも、そのAIの考え方の底の部分がわからなくなってしまう、という現象のことになります。
ブラックボックス化が起きるとシステム自体が暴走してしまい、人間の予想と異なる動きをしてしまう可能性があります。
例えば、金融市場に導入されているAIが暴走してしまい、株価が大きく乱高下(フラッシュ・クラッシュ)してしまった事例は多数あります。
医療AIの場合は患者の命に関わることですから、人間が制御できなくなってしまうと、かなり危険です。
やはり現場のどういう場面に、AIをどの程度導入するかは慎重になる必要がありますね。
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ブログを始めたばかりでわからないことだらけです…
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コメント
AIの暴走事故の責任取るのも医者なんだろぉ!!!!その分金よこせよぉ!!!
毎度記事のクオリティが高く扱っている内容も面白くて尊敬します!
更新楽しみにしています!
コメントありがとうございます!
お褒めの言葉、本当に嬉しいです!
これからも役立つ記事更新を続けていきたいと思いますので、引き続き読んで頂ければ幸いです。